インバウンドの中でも最も重要な市場である中国。しかし、「何から手をつければいいかわからない」「効果的なアプローチ方法が知りたい」というインバウンド担当者も多いはずです。
この記事では中国人集客を成功させるために、すぐに実践できる具体的な集客手法、そして受け入れ準備まで網羅的に解説します。
最新データに基づいた中国人観光客の動向についても紹介していますので、中国人集客を検討中のインバウンド担当者はぜひ最後までご覧ください。
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中国人集客が重要な理由
インバウンド対策を成功させる上で、中国市場は最重要ターゲットと言えます。ここでは、中国人集客が重要な理由を、訪日数と訪日消費額の観点から探っていきます。
訪日中国人数は国・地域別「1位」
新型コロナウイルス感染症拡大後、回復が緩やかであった中国市場からの訪日客数は、2024年に急速な回復を遂げました。
日本政府観光局(JNTO)が発表している「訪日外客統計」によると、2024年の訪日中国人は698.1万人に達し、前年の242.5万人から大幅に増加しています。
2025年に入ってからもこの傾向は続いており、特に春節期間を含む1月、2月は高い伸び率を示しました。
旺盛な訪日需要と航空路線の拡充を背景に、今後も引き続き多くの訪日客数を見込めると考えられます。
<参照>
日本政府観光局(JNTO):訪日外客統計
訪日消費額も国・地域別「1位」
2024年の訪日中国人はコロナ禍以前に及ばなかった一方で、訪日消費額は国別トップの1.7兆円を記録し、コロナ前とほぼ同水準まで回復しています。
また、訪日中国人による2024年の一人当たり消費額は約27.7万円でした。2019年と比較すると3割増を記録するなど、旺盛な消費意欲が市場全体を牽引していることがわかります。
費目別に見ると「買物代」が43.1%と最大で、次いで宿泊費(26.4%)、飲食費(18.0%)、交通費(8.0%)、娯楽等サービス費(4.5%)と続きました。
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中国人集客に効果的な手法
中国人集客に効果的な手法を、「SNSでの情報発信」「口コミサイトの活用」「地図アプリの整備」という3つの軸に分け、それぞれ具体的なサービスと活用法を解説します。
口コミサイトの活用
中国人の4人に3人がネットの口コミを重視するという調査結果もあり、口コミサイトの活用が集客の鍵を握ります。なかでも、中国人集客を検討している方が利用したいのが「大衆点評」です。
大衆点評(たいしゅうてんぴょう)は、2003年にサービスを開始した中国最大級の生活情報口コミサイトです。「中国版食べログ」と称されることもありますが、飲食店に限らず、宿泊施設、レジャースポット、ショッピングなど、あらゆるジャンルの店舗情報が網羅されています。
中国国内でのユーザー数は6.78億人、1日のアクティブユーザーは5,000万人以上と圧倒的な影響力を持ちます。この影響力は日本でも絶大で、訪日中国人の2人に1人(個人旅行者では55%)が、旅マエ・旅ナカの情報収集に大衆点評を利用しています。
日本国内の登録店舗数は、大手チェーンから個人店まで90万件以上にのぼり、店舗情報の無料掲載が可能です。
なお、「口コミコム」を運営する株式会社movは、日本で3社しかいない大衆点評の正規代理店の1社です。大衆点評の活用を検討している方は、お気軽にご相談ください。
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関連記事:大衆点評とは?店舗集客に不可欠な理由や使い方を徹底解説
SNSで情報を発信
中国ではGoogleなどの海外SNSが利用できないため、集客には中国独自のSNS活用が必須です。続いて、中国人集客に効果的なSNSを3つ紹介します。
Weibo(微博:ウェイボー)は、8億人以上のユーザーを抱える中国最大のソーシャルメディアで、「中国版X(旧Twitter)」として知られています。2009年にSINA社が提供を開始し、短い文章や画像を投稿するミニブログ機能のほか、EC機能も備えているのが特徴です。
WeChat(微信)は、中国IT大手テンセントが提供するメッセージアプリです。チャット機能に加え、決済、配車、公共料金の支払いといった多彩な機能を統合しており、中国社会のインフラともいえる「スーパーアプリ」として広く利用されています。
・RED
中国で急速に存在感を高めているSNSが、2013年にリリースされたREDです。「中国版Instagram」とも呼ばれていて、ユーザーは美容やファッションに関するリアルな口コミを写真や動画で閲覧するだけでなく、気に入った商品をアプリ内で直接購入できます。
地図アプリを整備
中国ではGoogleマップが利用できず、「高徳地図」や「百度地図」といった国内の地図アプリを日常的に利用しています。そのため、訪日中も普段から使い慣れたこれらのアプリで目的地を探す傾向があります。
中国で人気の地図アプリに店舗情報を掲載しておくことは、訪日中国人を集客するうえで効果的な集客施策といえます。
・高徳地図
高徳地図は、中国IT大手アリババグループが運営する地図アプリで、月間アクティブユーザーは8億人超を誇ります。
地図・ナビゲーション機能だけでなく、配車、ホテル予約、Alipayと連携した決済まで、多数の提携サービスをアプリ内で完結できる「生活総合プラットフォーム」として、中国の人々の暮らしに深く根付いています。
世界200以上の国と地域に対応しており、中国人観光客は訪日中も高徳地図で目的地を探します。高徳地図に店舗情報を掲載することで、訪日中国人集客が期待できるでしょう。
「口コミコム」は高徳地図の公式パートナーで、店舗情報の掲載に関するご相談から、より効果を最大化するための有料プロモーションの企画・運用まで、ワンストップでサポートいたします。お気軽にお問い合わせください。
関連記事:中国の地図アプリ「高徳地図」の使い方とは?店舗や施設の登録方法や集客方法を解説!
・百度地図
百度地図(バイドゥマップ)は、中国最大の検索エンジン「百度」が提供する地図サービスです。
通常の地図検索に加え、リアルタイムの交通状況や周辺施設情報などを網羅しており、特にAIアシスタントによる通訳やレート計算といった、海外旅行者に便利な機能が充実しているのが特徴です。
シンプルで直感的な操作性は、IT機器に不慣れな層を含む幅広い年代から支持されています。 親会社である検索エンジン「百度」との強力な連携により、豊富な情報量と利便性を実現しています。
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訪日中国人を集客するためにしておきたい準備
続いて、訪日中国人を集客するためにしておきたい準備を6つ紹介します。
1. Webサイトや予約フォームの多言語表記
多くの訪日中国人は、旅行前にオンラインで情報収集と予約を済ませます。Webサイトや予約フォームが中国語(簡体字)に対応していなければ、内容を理解してもらえず、予約の機会を失うことになります。
重要なのは、単に中国語に翻訳するだけでなく、中国人が直感的に操作できるページ構成や予約フローを設計することです。
2. Wi-Fiの整備
訪日中は、慣れない土地で地図(高徳地図、百度地図)や翻訳アプリ、SNS(WeChat、RED)を常に利用するため、インターネット環境は必須のインフラです。無料Wi-Fiの有無は、店舗選びの重要な基準となります。
特に重要なのは、SSIDやパスワードを中国語(簡体字)で分かりやすく表記することです。また、VPN接続が必要なサービスもあるため、接続方法やトラブルシューティングも簡潔に案内することで、利用時のストレスを大幅に軽減できます。
3. キャッシュレス決済の導入
訪日中国人観光客に対応するには、AlipayとWeChat Payの導入が不可欠と言えます。中国は世界屈指のキャッシュレス社会であり、現金決済は一般的ではありません。
なお、2025年9月、PayPayが「WeChat Pay」にも対応し、PayPay加盟店でWeChat Payが利用可能になりました。
4. メニューや案内の工夫
店内メニューや館内案内が日本語のみでは、訪日中国人は商品を十分に理解できません。しかし、単純な直訳ではニュアンスが伝わりにくい場合があります。
料理名や商品名の中国語(簡体字)表記に加え、高画質な写真やピクトグラムを多用して、視覚的に訴えかける工夫が有効です。
特に飲食店では、人気のメニューや看板商品を中国語で強調し、大衆点評の口コミで評価が高い料理にはアイコンを付けるなど、集客ツールと連動させるのも効果的と言えます。
5. 多言語人材の確保・スタッフの外国語研修・翻訳機の導入
対面接客での言葉の壁は、顧客満足度を大きく左右します。中国語ネイティブの人材確保が理想ですが、例えば、簡単な挨拶を覚えたりAI翻訳機を活用したりするだけでも、コミュニケーションは格段に円滑になります。
そして最も重要なのは「伝えようとする姿勢」です。その気持ちがお客様の安心感と満足度に直結し、記憶に残るおもてなしにつながるでしょう。
6. 食の多様性への対応
食事は訪日中の満足度を大きく左右する重要な要素です。訪日中国人の文化や習慣に配慮したきめ細やかな「おもてなし」が、他店との差別化、そして「選ばれる理由」に繋がります。
例えば、中国で好まれる温かいお茶を無料で提供したり、料理の魅力が伝わる写真豊富なメニューを用意したりするだけでも、「歓迎されている」という気持ちが伝わり喜ばれます。
また、訪日中国人はグループでの来店も多いため、団体予約に柔軟に対応できる体制を整えておくと、口コミでの高評価も期待できるでしょう。
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訪日中国人の消費トレンド
かつての“爆買い”に象徴される画一的な動向は終わりを告げ、現在、訪日中国人のニーズは大きく変化しています。
続いて、訪日中国人の消費トレンドについて解説します。
消費は「コスパ」から「価値重視」へ
2015年頃の“爆買い”ブームを境に、訪日中国人の消費動向は「安さ」から「価値」を重視する方向へと大きく変化しました。
かつて主流だったのは「性価比」、つまりコストパフォーマンスでした。しかし現在では、価格以上の品質や満足感を求める「質価比」という新たな価値観が注目されています。
この変化に伴い、人気の商品も日用品や家電から、日本ならではの特別な品や富裕層向けの高級ブランドへとシフトしています。単なる価格訴求ではなく、この「質価比」に応える商品やサービスの提供が、今後のインバウンド戦略の鍵となるでしょう。
旅行スタイルが多様化
中国人観光客の旅行スタイルが変化している点も重要な要素の一つです。
かつて主流だった「短期間で多くの観光地を巡る弾丸ツアー」に代わり、現在では心身をリフレッシュさせる「スローチャージ型」の旅が新たなトレンドになっています。
Ctripのレポートでも、旅行先に「のんびりできるか」「豊かな体験ができるか」を求める声が大きく、滞在そのものの質を重視する価値観の表れと言えます。
ホテルでの滞在そのものを楽しんだり、地方の隠れた魅力を探したりと、観光名所を巡るだけでなく、心の充足感を求める新しい旅の形が主流になりつつあります。
また、中国人観光客の新たなトレンドとして「逆向旅行」も注目されています。これは、ゴールデンルートなどの王道を避け、あえて地方の穴場スポットを目的地とする旅行スタイルです。
これまでインバウンドとは無縁だった地域にも大きなビジネスチャンスが生まれることを意味します。
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中国人の訪日需要が高まるのはいつ?2026年の中国の祝日・連休
2026年の訪日中国人のピークはいつになるでしょうか。最後に、中国の2026年の祝日・連休をリストアップします。
※正式発表は例年10月〜11月頃ですが、ここでは2025年の日程を参考に、2026年の動向を予測します。
1月1日:元旦(正月)
西洋暦で新年を祝う国際的な祝日です。
1月28日〜2月4日:春節(旧正月)【8連休】
中国で最も重要とされる旧暦の正月で、大型連休となります。
多くの人が帰省や旅行をするため、「民族大移動」とも呼ばれ、日本への旅行者も年間で最も増える時期の一つです。
4月4日~6日:清明節【3連休】
日本のお盆のように、先祖のお墓を掃除して供養する中国の祝日です。
春節ほどの大きな旅行シーズンではありませんが、この時期に満開となる日本の桜を見るために訪日する旅行者も多く、インバウンド需要が見込める時期と言えます。
5月1日〜5月5日:労働節【5連休】
「中国版メーデー」にあたる春の大型連休です。
日本のゴールデンウィークと時期が重なり、多くの中国人観光客が訪れ、国内の観光地は特に賑わいを見せます。
5月31日~6月2日:端午節【3連休】
ちまきを食べ、ドラゴンボートレースが行われることで知られる伝統的な祝日です。
大型連休ではないため、春節などと比較して訪日数が急増することはなく、影響は限定的と言えます。
10月1日〜10月8日:国慶節・中秋節【8連休】※2026年は分かれる予測
秋のインバウンド需要で最も重要なのが、中国の建国記念日である国慶節です。「ゴールデンウィーク」として知られ、春節と並んで訪日旅行が最も盛り上がる時期です。
また、国慶節の近くには五穀豊穣を祝う中秋節もあります。2026年は、この二つの祝日が分かれる見込みです(※2025年は重なり8連休)。
しかし、有給休暇を組み合わせて長期休暇にする人もいるため、中秋節の頃から訪日需要が高まり始め、国慶節でピークを迎えるという動きも考えられます。
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まとめ
かつての「爆買い」に象徴される画一的なニーズは終わりを告げ、現代の中国人観光客の関心は「質の高い商品(モノ)」と「心に残る体験(コト)」へとシフトしています。
この変化を正しく理解し、中国人が日常的に使うデジタルツール(SNS、口コミサイト、地図アプリ)で適切な情報を届け、快適な受け入れ環境を整えることが、これからのインバウンド戦略の成功を左右します。
本記事で紹介したポイントを参考に、まずは自社でできることから、中国人観光客へのアプローチを始めてみてはいかがでしょうか。
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