14施設の「個」をつなぎ、組織の力へ。 丁寧な対話とデジタル活用で実現した、現場に負担をかけないDX推進

運営推進部 徳丸様

お話を伺った方:運営推進部 徳丸様

「必要なものを必要なだけ贅沢に配した、くつろぎと眠りを追求するスマートホテル」をコンセプトに、福岡・九州を中心に全国で「ホテルフォルツァ」を展開する株式会社エフ・ジェイ ホテルズ。

「シティホテルの快適性」と「ビジネスホテルの機能性」の両立という独自のポジショニングと、デザイン性の高い空間づくりで支持を集める同社ですが、需要が急回復する中で「デジタル戦略の統一」という課題に直面していました。

今回は、全社のデジタル・マーケティング改革を主導する運営推進部の徳丸氏にインタビュー。

各施設の主体性を尊重しながら、口コミ管理ツールを導入して現場の意識を変革し、組織全体の「自走」を目指す取り組みについて、その裏側を伺いました。

 

「個の力」に頼っていた運営を、組織で底上げするために

まず、徳丸様の現在の役割と、当時の課題感について教えてください。

徳丸氏:現在は本部の運営推進部にて、ブランディング視点でのデジタルマーケティング戦略の立案から実行までを担当しています。

入社当時に感じたのは、「各施設のデジタル活用に、まだ大きな伸びしろがある」ということでした。

当時は各施設や支配人の裁量が大きく、独自の工夫で運営されている「個の強さ」がある一方で、SNS運用やSEO・MEO対策といったデジタルの取り組みにはどうしても濃淡がありました。

現場は目の前のお客様対応に全力ですから、マーケティング視点での発信までは手が回りきらない。

14の事業所それぞれが日々奮闘しているからこそ、本部としてツールやノウハウを整え、足並みを揃えることで、もっと大きな成果が出せるはずだ。そう感じたのが改革のスタート地点です。

 

なぜ今、「MEO」が必要だったのか

改革の第一歩として「MEO」に注力された理由は何ですか?

徳丸氏:お客様の「ホテル探し」の行動が変わってきたからです。

特にインバウンドのお客様は、OTA(予約サイト)だけでなく、Googleマップを使ってエリアや経路と合わせてホテルを探します。マップ上の情報が魅力的でなければ、そもそも「選択肢」に入らない時代なのです。

ブランド認知と集客を最大化するためには、MEO対策は避けて通れない最重要課題だと捉えていました。

 

しかし、対策を継続するには手間もかかります。

徳丸氏:そうなんです。全施設の情報を最新に保ち、写真を投稿し続けるには膨大な工数がかかります。しかし、現場は日々の業務で手一杯ですし、本部もリソースに余裕があるわけではありません。

「MEOは必須。でも、人の手は増やせない」。

このジレンマを解決できる手段として導入したのが、口コミコムでした。

 

決め手は何だったのでしょうか。

徳丸氏:既存のリソースのままで、負荷なく実施できる、という点です。

店舗情報の一括管理やAIによる返信サポート、さらに「投稿の自動繰り返し機能」を使えば、現場の業務を圧迫することなく、手放しで対策を継続できます。

「これなら、今の限られた体制でも無理なく運用に乗せられる」。そう確信できたことが導入の大きな決め手になりました。

 

「業務命令」ではなく「納得感」で動いてもらう

現場への導入にあたり、反発などはなかったのでしょうか?

徳丸氏:弊社には組織としての方針に対応する力がありますが、それでも背景の説明もなく新しいツールを導入すれば、「また業務負荷が増えるのか」という懸念が生まれるのは当然です。

私が所属する運営推進部は、あくまで現場を支える「サポート部門」です。単に「決まったことだから」と落とすだけでは、現場の本当の熱量は引き出せません。

だからこそ、丁寧にコミュニケーションを取り、納得感を持ってもらうプロセスを大切にしました。

 

具体的にどのようなアプローチをされたのですか?

徳丸氏:「手間を増やすためではありません。AIなどの機能を活用して業務を効率化し、さらに集客という成果に繋げるための施策です」と、メリットを明確に提示しました。

また、メールや会議での説明だけでなく、実際に各施設に足を運び、支配人やスタッフと直接対話を重ねました。時には食事を共にしながら、「一緒にホテルを良くしていこう」と想いを伝え、信頼関係を築く。

非常に泥臭いやり方ですが、このアナログなプロセスがあったからこそ、スムーズな導入と定着につながったのだと思います。

 

「見守り」から「自走」へ。変わり始めた現場の意識

現在の運用体制と、現場の変化について教えてください。

徳丸氏:現在は私が月に1回、全施設のデータを分析し、「今月はスコアが伸びています」「このキーワードが注目されています」といったレポートを作成してフィードバックを行っています。

このレポート共有を通じて、現場の意識は徐々に変わってきています。

一部の感度が高い店舗では、自発的にMEOの投稿内容を工夫したり、分析結果をサービス改善に活かしたりする動きが出ています。

 

スタッフの方も数字を見るようになったのでしょうか。

徳丸氏:はい。ログを確認すると、多くのスタッフが頻繁に管理画面にアクセスしています。

弊社ではフォルツァ同士での合同研修なども実施しているため、「一緒に研修を受けたスタッフがいる店舗はどうかな?」「他のエリアの評価はどうだろう?」と、横のつながりから自店以外の動向にも高い関心を持ってくれているようです。

まずは本部主導で型を作り、徐々に現場が自律的に動く「自走」の状態へ持っていく。今はそのための土台ができつつあるフェーズですね。

 

口コミは「答え合わせ」の場。顧客のインサイトを探る

業務効率化だけでなく、マーケティングとしての活用も進んでいるようですね。

徳丸氏:私が特に重視しているのは、口コミの中に隠れている「お客様のインサイト(本音)」の発掘です。

私たちは「シティホテルの快適性」と「ビジネスホテルの機能性」という独自の立ち位置を目指していますが、自分たちが「売り」だと思っている部分と、お客様が実際に「価値」を感じている部分が一致しているか、常に答え合わせをする必要があります。

 

具体的にはどういうことでしょうか?

徳丸氏:例えば、インバウンドのお客様などは、私たちが想定していなかったポイントを評価してくださることがあります。

広いバスルームや動線のゆとりといった「こだわり」が、海外の方にどう刺さっているのか。あるいは、どこに不満があるのか。

そうした「生の声」をAI分析で可視化し、「ここはもっとアピールしていいんだ」という発見を次の戦略に活かしていく。単なる返信業務で終わらせず、ブランドの強みを再発見するリソースとして活用しています。

 

「選ばれるホテル」であり続けるために

最後に、今後の展望をお聞かせください。

徳丸氏:まずはMEO対策をさらに強化し、Googleマップ上での多言語発信を通じて、インバウンド需要をしっかりと取り込んでいきたいですね。

また、将来的には清掃や朝食などのパートナー企業様とも、このデータを共有していきたいと考えています。

これまでは改善要望も定性的な話になりがちでしたが、客観的な「数字」や「お客様の声」という共通言語を持つことで、より建設的な対話ができるはずです。

デジタルを武器に、本部・現場・パートナー企業がワンチームとなり、お客様の期待を超えるサービスを提供していく。そんな強い組織づくりを、これからも支援していきたいですね。