「稼働率至上主義」からの脱却。 JR西日本ホテルズが挑む、口コミの力でブランドの“格”を上げる組織変革

執行役員 営業戦略部長 出口様、営業戦略部 マーケティング企画グループ 課長 岩田様、営業戦略部 マーケティング企画グループ 主任 西尾様

お話を伺った方:執行役員 営業戦略部長 出口様、営業戦略部 マーケティング企画グループ 課長 岩田様、営業戦略部 マーケティング企画グループ 主任 西尾様

関西を代表する「ホテルグランヴィア」や宿泊特化型の「ホテルヴィスキオ」など、多様なホテルブランドを展開するJR西日本ホテルズ。 同社がいま、大きく舵を切っているのが「量(稼働率)」から「質(ブランドの格)」への転換です。

今回は、営業戦略部のお三方にインタビュー。 これまで可視化が難しかった「レストランの評価」をAIで数値化し、本部と現場の温度差を埋めながら「ファン作り」を推進するための、新たなDX基盤づくりに迫ります。

 

【経営戦略】稼働率90%の「その先」へ

「選ばれるホテル」になるためのKPI転換

まず、営業戦略部としての現在のミッションを教えてください。

出口氏:私たちの役割はチェーン本部のマーケティング機能として、販売戦略の策定や、顧客のリピーター化を目指した会員戦略などを推進することです。

今、チェーン全体で掲げているのが「格の向上」です。 宿泊においては、これまでの「稼働率重視」から「単価向上」を前提とし、適正な稼働率でしっかりと収益を上げていける体質への転換を目指しています。 とはいえ、単に単価を上げるだけではお客様に選ばれません。 サービス向上をはじめ、価格に見合う顧客体験価値をいかに提供できるか。その実現が、現在の最重要ミッションです。

 

なぜ、その転換が必要だったのでしょうか?

出口氏: 理由は様々ですが、低価格帯ホテルとの差別化や、物価高騰による清掃費等のコスト増といった現実的な問題があります。 また、昨今のインバウンド増加は非常に有難い一方、私たちのチェーンは海外での知名度が高いとは言えず、OTA(旅行代理店)経由の予約に頼らざるを得ないのが現状です。

 

​​OTA経由だと、手数料などの課題もありますね。

出口氏: おっしゃる通りです。手数料コストが利益を圧迫しますし、何より自社のファンが育ちにくい。 利益向上のためにも、そして「顧客(ファン)」を増やすためにも、少しでも自社予約へ転換していく必要があります。 特に海外での認知度を効率的に上げるには、広告だけでなく、GoogleマップなどのMEO対策が極めて重要だと考えています。

さらに、「格の向上」の柱として位置付けているのが、「食のデスティネーションホテルとしての確固たる地位の確立」です。 単に泊まる場所ではなく、「あの朝食を食べたい」「あの料理を食べに行きたい」と、食の魅力で選ばれるホテルになる。 そのためには、口コミ分析でお客様の声を起点にサービス品質を上げ、ファン化を促進する仕組みが不可欠でした。

 

【導入目的】解決したかった「3つの課題」

「宿泊」と「食」を一元管理できる唯一の選択肢

既に宿泊に関する分析ツールは導入されていたと伺いました。なぜ今回、口コミコムを選んだのですか?

岩田氏: 導入の目的は、大きく分けて3つありました。これら全てを一つのプラットフォームで解決できるのが口コミコムだった、というのが正直なところです。

1つ目は、「MEOによるインバウンド集客」です。 特に関西エリアはインバウンド需要が旺盛ですが、宿泊客以外をレストランへ誘導できていませんでした。 海外の方はGoogleマップでお店を探します。そこで多言語情報を整備し、地図からの流入を強化したい。分析だけでなく「集客」のアクションまで一気通貫でできる点も評価しました。

 

2つ目の目的は何でしょうか?

岩田氏: 2つ目は、「顧客評価の可視化と改善」です。 先ほど出口が申し上げた通り、私たちは「食のディスティネーションホテル」を目指していますが、既存ツールは宿泊特化型で「レストラン」の評価が見えづらかった。 食で選ばれるホテルになる以上、ここがブラックボックスのままではブランド向上は難しいと考え、口コミコムで「食」に関するお客様の声もAIで細かく分析することにしました。

 

3つ目についてもお聞かせください。

岩田氏: 3つ目は、「返信業務の平準化および効率化」です。 現場スタッフにとって、口コミへの返信は決して軽い業務ではありません。特に語学力や文章力には個人差が出ます。 口コミコムのAI返信支援機能は精度が高く、これならベテランでも若手でも一定のクオリティで対応できると感じました。現場の負担を減らしつつ、質を担保できる機能性が決め手になりました。

【組織課題】すべてのホテルに寄り添うサポート体制

100点満点のホテルもあれば、苦手なホテルもある

 目的が明確でも、大規模なグループゆえに浸透させるのは難しそうです。

岩田氏: おっしゃる通り、施設によってITリテラシーや熱量にはかなりバラつきがあります。「新しいツールなんて使いこなせない」という現場の声もゼロではありません。 ただ、口コミコムは管理画面が直感的で、本部が見たいデータがパッとグラフで表示されるので、比較的スムーズに受け入れられたと思います。

 

それでも難しい施設には、どう対応されていますか?

岩田氏: 口コミコムのカスタマーサクセス(CS)チームの存在が助かっています。 単にツールの使い方を教えるだけでなく、進捗が遅れている施設に対して「なぜ止まっているのか」「どうアプローチすれば動くか」といった運用の相談にも乗っていただけます。 ツールを渡して終わりではなく、運用のボトルネックを一緒に解消してくれる「良き相談役」として伴走してくれるので、本部としても非常に頼りにしています。

 

【比較分析】「横串」を通して初めて気づく強み

埋もれていたPRポイントの発掘

多様なブランドを横並びで見ることで、どのような活用ができそうですか?

西尾氏: まずは現状把握ですね。AIサマリー機能でお客様の声を分析すると、私たちがPRしていなかったポイントが意外と評価されていることに気づかされることがあります。 「うちのホテル、実はここが褒められていたんだ!」という発見があれば、広報としてそれをSNSやプレスリリースで発信し、強みを伸ばすことができます。 グループ全体でデータを横比較できるようになったので、今後は「なぜあの店舗は評価が高いのか?」という成功要因を他の施設にも水平展開していきたいですね。

 

【展望】「格」を数値化し、経営指標へ

最後に、今後の展望をお聞かせください。

出口氏:まず基本として、Googleマップの情報を常に最新かつ魅力的に整備し、インバウンドをはじめとした多くのお客様をスムーズに誘客する「入り口」を作りたいと考えています。 そして、お越しいただいたお客様に満足いただき、ファンになっていただく。このサイクルを実現したいですね。

そのためには、「顧客起点」の文化を全社的に醸成する必要があります。 口コミ評価に一喜一憂するのではなく、フィードバックを真摯に受け止め、お客様が何に価値を感じているのかを分析する。そして、どこをどう改善すれば体験価値が最大化するかを明確にし、実行に移す。 この循環を実現するための重要な基盤として、口コミコムの更なる活用を図って参ります。