商業施設とは、大型スーパーマーケットやアウトレットモール、百貨店などさまざまな店舗が集まって営業している施設のことを指します。

比較的、中~大規模な複合施設が多く、テーマパーク併設のものや、アミューズメント施設などを含む場合もあります。

商業施設の中に飲食店を出店することは集客における大きな効果が見込めます。その反面、制約なども存在します。

この記事では、商業施設の基本的な定義から、近年のトレンド、そして実際に出店する際のメリット・デメリット、さらには施設内で競争に勝つための集客方法などを詳しく解説します。

商業施設が集客するなら、MEOツールの「口コミコム」が効果的→何ができるか見てみる

商業施設とは?

商業施設とは、物品の販売、飲食、サービスの提供などを行うさまざまな店舗が一つに集まって営業している施設のことを指します。

単に「モノを買う場所」であるだけでなく、近年は食事、エンターテイメント、さらには地域コミュニティの拠点としての役割も担う、複合的な施設を指すのが一般的です。

ショッピングセンター(SC)との違い

「商業施設」と似た言葉に「ショッピングセンター(SC)」があります。

ショッピングセンターは商業施設の一形態であり、一般社団法人日本ショッピングセンター協会によると「一つの単位として計画、開発、所有、管理運営される商業・サービス施設の集合体」と定義されています。

簡単に言えば、「商業施設」は店舗が集まる建物の総称であり、「SC」はデベロッパー(開発業者)によって意図的に計画・管理されている商業施設を指すことが一般的です。ただし、日常会話ではほぼ同義で使われることもあります。

<参照>一般社団法人日本ショッピングセンター協会:ショッピングセンター(SC)の定義

法律上の定義

日本の法律では「大規模小売店舗立地法(大店立地法)」が商業施設と深く関わっています。

これは、店舗面積の合計が1,000平方メートルを超える大規模な小売店舗を新設・変更する際に、交通渋滞、騒音、廃棄物など、周辺の生活環境への影響を考慮し、適切な配慮を求める法律です。

多くの大規模商業施設は、この法律に基づいて計画・運営されています。

商業施設が集客するなら、MEOツールの「口コミコム」が効果的→何ができるか見てみる

商業施設の役割と近年のトレンド

かつての商業施設は「モノを買う場所」が主な役割でしたが、近年はEC(ネット通販)の普及により、その役割が大きく変化しています。

「コト消費」「トキ消費」へのシフト

単にモノを売るだけではECのほうが有利です。そのため、多くの商業施設が「そこでしかできない体験(コト消費)」や「その場で過ごす時間(トキ消費)」に価値を置いています。

  • 飲食店の充実(フードコート、レストラン街)
  • 映画館(シネマコンプレックス)、アミューズメント施設
  • イベントスペースでの催事
  • クリニック、カルチャースクール、フィットネスジムなどのサービス機能

OMO

ECと実店舗の垣根をなくす取り組みです。

実店舗を「売る場所」だけでなく「試す場所(ショールーム)」として活用したり、アプリを通じてオンラインの顧客を実店舗に誘導したりします。

関連記事:OMOとは?O2O・オムニチャネルとの違いや成功事例・メリットをわかりやすく徹底解説

地域コミュニティの拠点化

買い物のためだけでなく、人々が集う「地域のハブ」としての機能も重視されています。

公園や広場を併設したり、行政サービス窓口や図書館を誘致したりするケースも増えています。

商業施設が集客するなら、MEOツールの「口コミコム」が効果的→何ができるか見てみる

商業施設に飲食店を出店するメリット

商業施設にはさまざまな種類の店舗が含まれていることが多いため、それだけ多くの顧客が足を運ぶ場所です。

実際に集客に対してどんな効果があるのか、飲食店が商業施設に出店するメリットを5つ紹介します。

1. 集客力が高く、足を運んでもらいやすい

商業施設は、駅の近くにあったり、大きな駐車場が準備されていたり、基本的にアクセスがいいという特徴があります。遠方からの顧客でも気軽に足を運ぶことができるため、顧客の母数が大きいというのが1つのメリットです。

また、さまざまな店舗が含まれているため、客層が限定されず、幅広い年齢層の人が訪れます。

ショッピングはもちろんのこと、映画鑑賞などのついでに飲食店に立ち寄る顧客もいるため、独立店舗よりも集客のチャンスが広がります。

商業施設自体が大型で有名な場合、飲食店として出店すること自体が認知度のアップにもなるでしょう。

2. 天候に左右されずに集客できる

商業施設の特徴の1つに、雨などの天候の変化があっても客足が遠のきにくいという点が挙げられます。

駅直結や、駅近の立地であったり、屋内駐車場の完備がされていたりする商業施設が多いため、天候に左右されずにコンスタントな集客数を見込むことができます。

路面店の場合、天気が悪いと店舗に訪れる顧客の数が減少し、収益が不安定になる可能性があります。

3. 商業施設が宣伝を行うため、宣伝費用を抑えられる

商業施設に出店すると、宣伝費用を抑えることができるというメリットもあります。

一般的に商業施設は、新聞広告やWeb広告などを通して施設の宣伝をしたり、イベント開催やセールの際には公式サイトなどを通じて情報発信したりするため、出店している店舗は客足を増やすための宣伝に費用をかける必要がありません。

SNSなどを通じて自店舗を紹介することは大切ですが、コストを抑えた集客宣伝が実現できます。

4. 客層やかき入れ時がわかりやすくアプローチしやすい

商業施設は幅広い層への集客が見込めるものの、施設によって集まる客層の傾向を絞ることができます。

たとえば、ファッションビルには比較的若者が多く、百貨店には経済的に余裕のある中高年層や家族連れが集まりやすいといった傾向があります。

ターゲットに合わせて店舗で展開するメニューの価格帯や内容を選定することで、効果的なアプローチができます。

セールやキャンペーン開催時には多くの顧客が集まることが予想されるため、繁忙期ではスタッフの増員などあらかじめ準備をすることが可能です。

5. 購買・消費意欲が高い顧客が訪れる

商業施設を訪れる顧客の特徴として、消費意欲の高さが挙げられます。

複数の店舗を何度も行き来できる商業施設では、買い物をしたいと考えて足を運んでいる人が多く、消費に対する意欲が高い傾向にあります。

そのため、買い物の途中や買い物後に飲食店に足を運び、食事を済ませる顧客が多く、自然な集客を見込むことができます。

独立店舗の場合と比べ、購買意欲の高い顧客をより高確率で呼び込むことができるでしょう。

商業施設が集客するなら、MEOツールの「口コミコム」が効果的→何ができるか見てみる

商業施設に飲食店を出店するデメリット

集客に手間をかけずに済むことや、ターゲットに合わせたメニュー構成がしやすいなど、商業施設に飲食店が出店をすることで得られるメリットはたくさんあります。

一方で、出店を検討する際には注意すべきデメリットもあります。こちらも5つの点から解説します。

1. 家賃などの負担金額が高い

路面店などの独立店舗でもお店を展開するための家賃はかかりますが、商業施設内に出店する場合にはより高額な負担が発生する可能性があります。

商業施設によっては、賃貸料が店舗の売上げに応じて増減する契約をしている場合もあり、集客ができて売上げがアップしても、お店の収益はそこまで高くないという事態も想定されます。

また、商業施設によっては、有料駐車場利用者に対してのサービス金額分を店舗で負担しなければならないこともあり、必要経費として支出が増えるというデメリットがあります。

2. 商業施設が決めた営業日や営業時間に従う必要がある

商業施設内で展開する店舗である以上、商業施設全体のルールに則って営業することが原則的な条件となります。

具体的には、商業施設全体の営業時間に従う必要があったり、施設の営業日に応じて店舗を運営しなければならなかったりします。

そのため、イレギュラーな休みなどを設けることができず、独立店舗に比べると自由度が低いという点が挙げられます。

3. 路面店舗と比べて自由度が低い

自由度が低いのは、営業時間や営業日に関してだけではありません。

イベントを商業施設が開催する場合は参加する必要があり、イベントに関するサービス品などの準備が求められることもあります。

自社がイベント参加に乗り気でなかったとしても参加が義務であったり、費用負担が発生したり、商業施設全体の決定に従うことが基本条件となります。

また、商業施設全体のコンセプトの統一のため、内装やデザインも画一的なものを選択せざるをない場合もあり、自社のカラーを出すことが難しい可能性もあります。

4. 売上金がすぐには入らない

商業施設での店舗運営のその他のデメリットに、売上金が入るまでのタイムラグが挙げられます。

通常、商業施設に展開する店舗は、売上金を施設に一度送ったのち、経費などを差し引いた額を再度入金するシステムを採用しているところがほとんどです。

そのため、独立店舗に比べると売上金が入るまで時間がかかり、資金繰りの計画を立てる際に問題になる場合もあります。

5. 競合店舗が多い

商業施設には多くの人が集まることはメリットである一方、施設内に多くの店舗があることで、たくさんの競合を持つことになるというデメリットも発生します。

百貨店などの場合、飲食店は通常1つのエリアに集中して展開されるため、顧客は多くの選択肢の中からお店を選択することになります。

ジャンルが分かれていれば食事のカテゴリーで選んでもらえるチャンスがありますが、同ジャンルの飲食店が近くに店舗を構えている場合、顧客の取り合いになる可能性があります。

商業施設が集客するなら、MEOツールの「口コミコム」が効果的→何ができるか見てみる

商業施設に出店している店舗が集客するには?4つの集客方法

高い集客力は大きなメリットですが、それは同時に施設内に多数の競合店が存在することも意味します。

施設の集客力に頼るだけでなく、テナント(店舗)側が独自に集客努力を行うことが、競争に勝つために不可欠です。

ここでは、商業施設内の店舗が実践すべき集客方法を具体的に解説します。

1. ローカルSEO(MEO)で「地図検索」からの来店を促す

現代の集客において、最も重要な施策の1つがローカルSEO(MEO)です。

顧客は「(現在地)近くの カフェ」や「〇〇(施設名) ランチ」といったキーワードで地図検索を行います。この検索結果で自店を表示させることで来店が期待できます。

テナントが取り組むべき最も重要な対策は、商業施設全体のプロフィールとは別に、自店舗専用の「独立したGoogleビジネスプロフィール」を作成し、オーナー確認を行うことです。

Googleビジネスプロフィールの登録方法については、「Googleビジネスプロフィールとは?初心者向けにメリットや登録方法を徹底解説」の記事で詳しく解説しています。参考にしてください。

また、MEO対策で効果的に集客したい場合は、ツールを活用するのも一つの方法です。

口コミコム」は、Googleビジネスプロフィールをはじめ国内外の口コミサイトとSNSの店舗情報や口コミを一括管理・分析できるMEO対策ツールです。

「口コミコム」で何ができるか見てみる→こちらをクリック

2. SNS活用で「ファン」を育成し来店動機を作る

InstagramやX(旧Twitter)、LINE公式アカウントなど、店舗独自のSNSアカウント運用も欠かせません。

新商品や限定メニューの紹介はもちろん、店内の雰囲気、スタッフのこだわり、製造の裏側などを発信することで、店舗の「個性」や「人柄」を伝えます。

これにより、単なる「施設内の一店舗」ではなく、「指名して行きたい店」としてのファンを育成し、継続的な来店動機を生み出します。

3. 店頭アピール(VMD)で「通行客」の足を止める

Webでの集客と同時に、今まさに施設内を歩いている「見込み客」にアピールする施策も重要です。

店頭の看板(デジタルサイネージ含む)、ディスプレイ、店頭POPを工夫し、通行客の足を止める仕掛けを作ります。

特に飲食店であれば、ランチタイム限定の看板や、シズル感のあるメニュー写真を掲示するだけでも効果が大きく変わるでしょう。

4. 施設内連携とイベント活用で「回遊客」を取り込む

施設内を歩く顧客の「ついで買い」「ついで利用」を促す施策も有効です。

映画館の半券や、施設内の他店舗のレシート提示による割引サービスなど、他店舗と連携して顧客が施設内を回遊する流れの中で自店に立ち寄ってもらう工夫をします。

また、商業施設が企画するセール、ポイントアップデー、季節イベントには積極的に参加しましょう。施設全体が盛り上がるタイミングは、新規顧客が来店する最大のチャンスです。

イベントに合わせて店舗独自の限定商品を用意したり、割引サービスを提供したりすることで、施設が集めた客を自店舗の売上に確実に取り込むことができます。

商業施設が集客するなら、MEOツールの「口コミコム」が効果的→何ができるか見てみる

メリット・デメリットを把握し、自店舗の利益になるような選択をする

商業施設に飲食店を出店すると、施設の影響力を活かして集客できるため、低コストで顧客を増やすことにつながります。

一方で、商業施設で営業をする以上、施設のルールやコンセプトに従う必要があるため、営業日や営業時間、内装など基本的なことだけでなく、イベント開催なども施設の指示に従う必要があります。

集客力や商業施設のネームバリューを活用したい場合には、出店には大きなメリットがありますが、独自のブランドや特徴を守りたい場合には、商業施設出店は適切でないといえます。

商業施設への出店を検討する際には、自社の営業スタイルやブランドを的確に把握し、どのような路線で店舗展開をしていきたいかを考えることが重要です。

集客増加、売上げ増加などが見込める一方で、固定経費の増加など支出面での負担や売上金入金までのタイムラグなども制約もあるというメリットとデメリットを理解し、自社のスタイルに商業施設への出店が即しているかを見極めることが大切です。