「自分ごと化」がカギ。口コミ施策に現場を巻き込む体制のつくり方
お話を伺った方:営業企画改善室 マネージャー 原理史さん
「やきとん筑前屋」「沖縄ダイニング琉歌」「肉のはせ川」など、全国50店舗以上のお食事処や居酒屋を展開する株式会社カスタマーズディライト。同社では、現場の一人ひとりがお客様の声を大切にする風土づくりに注力しています。
MEO(※)や口コミ施策に対する現場の主体性を引き出すため、同社ではどんな工夫や意識をしているのでしょうか。今回は、株式会社カスタマーズディライト 営業本部営業企画室 Web・販促責任者 原 理史さんにお話を伺いました。
※MEO…「Map Engine Optimization」の頭文字をとった略称。主にGoogleマップ上の情報最適化や、それを通じた集客などを意味する用語。
MEO対策代行で費用対効果を得られず、内製化をめざしてツールを導入
MEO対策に注目したのはいつ頃でしょうか?
新型コロナウイルス感染症が流行し始めてからです。それまでは一切やっておらず、広告媒体に頼っている状態でした。ただ、世の中の外食需要が不安定になると、当然ですが集客にも苦戦し始めました。そもそもの需要が少ない中で、広告で得られる集客の数が、費用に見合わなくなってきたんです。
そんなときに注目したのがMEO対策でした。最近Googleマップが飲食店の検索にも使われるようになってきたと聞いたので、そこからの集客が得られればと思って始めました。
初めはどんなことに取り組みましたか?
当時は社内に知見がなかったので、MEO対策の代行会社と契約を結んでいました。1年くらいでしょうか。私はMEO対策代行会社の担当者とやりとりをする立場だったのですが、その中でマップ検索の仕組みなどが理解できるようになり、「自分でもやれるのでは」と少しずつ思うようになりました。
加えて、代行費として月3万円×約50店舗分が毎月かかっており、費用対効果が実感できず…。人を採用してでも自社内でやったほうが良いのではと、社内で話が出るようになったんです。自社にノウハウが蓄積できるというメリットもありますしね。そこで、試験的に自分たちでMEO対策をやってみることにしました。ツールの導入を検討したのはその頃です。
最初に導入したのは、口コミコムではなく他社のツールだったそうですね。どんな観点でそのツールを選びましたか?
自分たちにどのくらいのことができるかわからなかったので、まずは試験用として、最低限の機能があり、とにかく安いツールを選びました。
実際に、自分でGoogleビジネスプロフィールの施策をやってみると、代行とさほど変わらない効果が出せることがわかったんです。それなら本格的に自社でやってみるかということで、多機能な口コミコムに乗り換えたというのが経緯ですね。
口コミコムのサポートは、まるで”自社社員”かのような手厚さ
機能の豊富さで口コミコムを選んだとのことですが、どんなふうに活用していますか?
口コミコムを使って、全店舗のGoogleビジネスプロフィール上の情報整備、検索されているキーワードの分析、推しメニューの宣伝投稿、口コミのチェックや返信などを行っています。
中でも活用しているのは、複数店舗の一括投稿機能や予約投稿機能、口コミの返信機能ですね。
全国50店舗以上展開する当社のMEO対策では、まず効率がとても重要です。口コミコムのおかげで、週2回の全店舗分の情報更新やデータの確認、口コミのチェックが1〜2時間で終えられるようになりました。
MEO対策については、どういったことをやってらっしゃるのですか?
各ブランドの”推し”メニューを情報として入れていくというのをやっています。外国人のお客様にも来ていただきたいので、英語、中国語、韓国語でも投稿を続けています。
また、たとえば「沖縄ダイニング琉歌」のブランドの検索ワードを確認して、「沖縄料理」の検索がされているのであれば、さらにそこを強化していくといった、データに基づいて戦略的な投稿を行っています。口コミコムで検索ワードも簡単に見られるのでありがたいですね。
口コミコムのサポートについては、率直にどう感じていらっしゃいますか?
これまでいろんなサービスを使ってきましたが、口コミコムのサポートは本当に手厚いですね。「この値段で、ここまでサポートしてもらえるの?」と思うくらいです。
口コミコムの使い方がわからない時に随時質問できるだけでなく、専任のサポートスタッフの方が定期的にミーティングを実施してくれます。施策の効果や進捗を一緒に分析し、よかった点も悪かった点もはっきりと共有してくれますし、次回までに自分たちがやるべきことを明確にしてくれるので、こちらもやらないわけにはいかなくなるというか…(笑)
まるで自社社員かのように忖度なく話してくれますし、背中を押してくれる存在がいるからこそ、自走できていると言っても過言ではありません。
現場の協力を得るコツは、現場にとってのメリットを考えること
貴社の口コミ対策は現在どのような体制で、またどんなことに取り組んでいますか?
現在は全店舗の口コミを私たちの部署が一括で管理し、必要に応じて該当店舗を統括するマネージャーへ情報共有や対応依頼をする体制をとっています。特に改善に力を入れるべき店舗の洗い出しや店舗ごとの次月の目標設定などに役立つよう、各サイトの口コミとお客様アンケートの回答を店舗ごとにまとめてマネージャーに情報を渡していますね。
改善すべき店舗の洗い出しや目標設定については、口コミコムの口コミ相関分析をもとに、カスタマーサクセスの方と一緒に色々と議論しています。
現場にも施策面でも協力してもらっていて、たとえば口コミでお客様から緊急度の高いご指摘を受け、具体的な改善方法を提示する必要がある時には、その口コミへの返信内容をマネージャーや店長本人に一緒に考えてもらっています。せっかく頂いたコメントに、本部で当たり障りのない回答をするわけにはいきませんからね。
ただ、店舗の運営で忙しい現場を巻き込むのは、簡単ではありません。パソコンを触ることに抵抗のある方もいますし、口コミ施策をあくまで本部の仕事と捉えている方もいるでしょう。ですが、お客様とのコミュニケーションである口コミ施策を進めていくには、お客様と直接やりとりする現場の協力が不可欠です。そのために、一人ひとりに口コミの重要性を理解してもらうことも私のミッションだと考え、日々動いています。
口コミ施策を推し進める中で、同じような悩みを抱えている企業は多いと思います。現場の協力を得るうえで、原さんが意識していることはありますか?
私は過去に複数店舗を統括するマネージャーをしていたのですが、マネージャー時代に口コミの重要性に気づけていたらよかったのに、と思うことばかりです。なぜなら、口コミには売上を上げるためのヒントが詰まっているからです。
お客様からの嬉しいコメントからは店舗の強みがわかり、厳しいコメントからは改善点がわかるじゃないですか。ある意味、マネージャーや店長の仕事を楽にする情報だと思うんです。
ですので、彼らにはそのメリットの大きさをまずは伝えるようにしています。「口コミに対応してくれ」という指示だけでは、日々忙しい現場にいれば目の前の業務が優先になってしまうと思うのです。現場を巻き込んで口コミ施策を推し進めていくため、その取り組みを一方的に指示するのではなく、一人ひとりが自分ごととして主体的に動きたくなるような伝え方や環境づくりを意識しています。
MEO対策についても同様ですよね。もしも協力が得られないなら、それはきっとその重要性が自分ごとになっていないからです。私もこの重要性に気づけたのは、初めてGoogleマップで飲食店を検索してみた時でした。「情報がそろっていない店は候補から外れるな」とか、「星の数が低いと不安になるな」とか、いち消費者として感じたことが重要性の理解に繋がったんです。ですから、重要性がいまいちピンときていないスタッフがいたら、「このお店行こうよ」と評価の高いお店や、逆に低いお店などに誘ってみて、評価との相関性を見てもらうと面白いかもしれませんね。いち消費者として、何か感じるものがあるのではないかなと思います。
現場一人ひとりがお客様の声をもっと「自分ごと化」できる体制へ
競争の激しい飲食業界で成長を続けていくうえで、どんなことが重要になると思いますか?
私は、飲食チェーンが他店と差をつけるための鍵となるのは「接客」だと思っています。もちろん企業努力として美味しい料理をできるだけ安く提供することは必要ですが、店舗にできることは限られていますから。
逆に、いくらでも付加価値を提供できるのが接客で、ここを磨くことがさらなる成長に繋がると考えています。実際、ここ最近で接客を大きく改善したことで、深夜営業をなくしたにも関わらず月数百万円の売上アップに繋がった店舗があるんです。改めて接客の重要性を再認識しましたね。
会社全体としても「顧客満足ではなく顧客感動を目指す。」という言葉を掲げ、お客様に「感動」していただくことを目指しています。そんな中で、口コミを集める施策を始めた結果、ありがたいことに多くの店舗で高い評価が集まってきていることがわかったんですよね。
口コミコムはMEO対策がきっかけで導入しましたが、口コミ施策も一緒にサポートを受けながらやってみたことで、今の店舗への満足度が見えてよかったと思っています。
今後は、MEO対策や口コミ施策でどんなことに取り組みたいですか?
ゆくゆくは、本部で進めるのではなく、店舗側が主体となってMEO対策や口コミ施策に取り組む体制を目指しています。社内全体のサービスレベルを底上げするために必要な体制だと考えているからです。
効率を考えれば、現在のように本部で一括対応するのがベストかもしれません。ですが、それではお客様の声が現場にフィードバックされるまでのスピード感も温度感も落ちてしまいます。接客後すぐに口コミを見たほうが、嬉しいコメントはより嬉しく、厳しいコメントはより反省に繋がると思うんです。結果として、店舗運営や接客のレベルに大きな差が開くのではないかと思います。ですので、今後は現場一人ひとりがお客様の声をもっと「自分ごと化」できる体制を目指してまいります。