オンラインでも、店頭と同じ“接客“を大切にしたい。徹底したお客様視点でのMEO対策

経営企画室 杉村 健太さん

お話を伺った方:経営企画室 杉村 健太さん

​​​​日本の工芸をベースに、全国約800のつくり手と協業した生活雑貨を取り揃える「中川政七商店」。300年の歴史を持つ老舗ながら、歴史にとらわれない経営スタイルで100年先を見据えた会社づくりが行われています。

今回は、中川政七商店経営企画室の杉村健太さんにインタビューを実施。現在取り組んでいるMEO施策や、キーワード選定の重要性、インバウンド対応などについてお話を伺いました。

 

Googleマップはお客様との最初の接点。適切に運用したい

 まず、御社の事業内容と、杉村さんの担当内容を伺ってもよろしいでしょうか。

弊社は「日本の工芸を元気にする!」をビジョンに、工芸をベースにした生活雑貨の企画製造と販売を中心に、全国で約60の直営店とオンラインストアを運営しているほか、産地支援事業や経営コンサルティング事業、教育事業なども展開しています。

その中で私は、ECサイトの運営や集客、UXの改善やUIの精度向上など、オンラインにおける幅広い領域を担当しています。お客様との強固な関係性を構築していくことが私の大きなミッションです。

 UXの改善やお客様との関係性構築を担当する中で、MEOに注目したきっかけは何ですか?

2019年に大規模な自社サイトのリニューアルを行った際に、Googleマップが気にかけられていないことに気づきました。弊社に興味を持ってくださったお客様との最初の接点となりうるGoogleマップに、求められる情報が整っていることが理想的なのでは?と。

その想いがきっかけとなり、まずは情報の整理からやってみようと動き出しました。

 その状況から最終的に口コミコムを導入するまでの経緯や、導入した理由を教えてください。

口コミコムの機能と、専任のカスタマーサクセス担当によるサポート体制が魅力でした。
最初は自分たちでGoogleマップの管理を始めてみたものの、情報の整備だけでも一苦労で、2019年当時には既に50店舗以上あったので、細やかな管理を行うには、必要なリソースが足りず非常に大変でした。

外部の企業にGoogleマップの管理を委託していた時期もありましたが、店舗情報の更新にタイムラグが起こるなど、なかなか思うように運用ができなかったんです。

そんなタイミングで、口コミコムの存在を知りました。別のMEO対策ツールも検討していたのですが、口コミコムの機能の豊富さとサポート体制に魅力を感じ、導入を決めました。

 

顧客ニーズに合わせたキーワード選定が重要

 実際に口コミコムを活用してみた率直な感想を教えてください。

まず、Googleマップの管理におけるツールの必要性を改めて実感しました。特に、Googleによる変更防止機能は重要だと思いました。以前、管理していた1つの電話番号が知らぬ間に変更されていたことがあり、お客様にご不便をお掛けしてしまったのではないかと、すごく焦りましたね…。
管理する店舗数も多いので、ツールなしではそれぞれの店舗の情報を逐一チェックして、最新に保つのは不可能だなと。情報整備くらいは自分たちでやろうと考えていた時期もありましたが、ツールを使う意義を再認識しました。

また、お客様目線で戦略を考える大切さも改めて感じました。口コミコムを導入する前は「お客様にどう見られたいか」という自分たち目線のブランド像を中心に発信内容を考えていました。でも、本当に重要なのは「どんなキーワードで検索されたいか」ではなく、「お客様がどんなキーワードで検索するか」ですよね。

「お客様が検索した際に中川政七商店の情報が出てきたら嬉しいのは、どんなタイミングで、どんなキーワードで検索したときだろうか」という発想を前提に戦略を立てること。その重要性に改めて気づくことができました。

 口コミコムの導入をきっかけに、お客様目線でのキーワード選定に重要性を感じられたのですね。

エリアや立地によっても来店されるお客様のニーズは違うので、何が適切なキーワードかは各店舗で変わるものだと私は思っています。例えば、観光地の奈良にある店舗では「おみやげ」というキーワードの親和性が高いですが、デイリー層の多い東京の店舗であれば「生活雑貨」などの方がより多くのお客様に届くはずです。

大切なのは、お客様のニーズに合わせた情報発信ができているかどうか。私たちだけだと、どうしても「工芸」や「暮らしの道具」のように、元々、中川政七商店のブランドイメージに紐づいた言葉を選んでしまいがちです。しかし、Googleマップ上の「工芸」の検索ボリュームはそこまで大きくはないので、お客様視点で考えるとあまり親切だとは言えません。

そういった点を考慮しながら、口コミコムのカスタマーサクセス担当の方にキーワードをご提案いただいていて。弊社との親和性を考慮しつつMEO対策に有効なキーワードを選定してくれるので、違和感なくスムーズに施策が進められています。

我々には知識も経験もない中で、カスタマーサクセスの方々には本当に丁寧にサポートしていただいています。いつ、何に対して、どんな働きかけが必要なのか、専門家として適切なアドバイスと指示をくれるので、とてもありがたいですね。

 

オンラインでも、店頭と同じ“接客”を大切にしたい

 今後の取り組みとして多言語での投稿も進めていくそうですが、小売業におけるインバウンド対応についてはどのようにお考えですか?

インバウンド対策については、中長期の大きな課題として捉えています。先ほども話に出た通り、Googleマップはお客様との最初の接点になる可能性が高いので、言語を問わず情報を整理しておく重要度は高いと個人的にも考えています。

インバウンド対策をするために、多言語でGoogleマップへの投稿を行っています。その際、日本人向けに作った文章を意図を変えずにそのまま翻訳して投稿していることに「本当にこれでいいのか?」と社内で議論になりました。今後は海外の方に最初の接点として弊社のことを知ってもらうには何が重要で、何を伝えることが必要かをもう一度きちんと考えてから、適切な翻訳を進めていきます。

キーワードの重要性と同じで、外国人観光客の方々のニーズをきちんと踏まえた上で、投稿文章に落とし込んでいかないといけないなと、この取り組みを通じて改めて気がついたんです。細かいところにきちんと対応していくことが、ブランド価値を高めることに繋がると思うので、これからもしっかり精度高く、取り組んでいきたいと思っています。

 翻訳アプリなどツールの便利さに頼らず、自分たちのブランド作りのために細やかな対応をされている点が素敵ですね。

オンライン上であっても、実店舗同等のお客様とのコミュニケーションを大切にしたいという想いが強いんですよね。

というのも、中川政七商店では、店頭での接客が生む体験を大切にしていて、お客様には心で接し、商品が持っているストーリーをきちんと伝え、ブランドを好きになってもらうことを大切にしています。こうした接客のポリシーを言語化したのが「接心好感(せっしんこうかん)」という言葉です。

特にオンラインストアなどは、ある程度効率を意識するべき場所かもしれません。しかし、効率化するべきところは効率化しつつ、効率化しない部分も残して、「接心好感」に基づく接客を行う必要があると私たちは考えています。

Googleマップの多言語投稿で自動翻訳アプリを使うことはすごく便利ですが、それだけでは伝わらないものが絶対ある気がしています。もちろん社内のリソースや優先度は考える必要がありますが、オンライン上でも、外国語であっても、しっかりお客様とコミュニケーションをとっていくことが重要ではないかなと思うんです。

 今後もMEO対策を継続する価値はどのように感じていらっしゃいますか?

例えばGoogleマップの情報整理にしても、一度整理して終わりではなく、最新の状態を維持することに価値があると考えています。小手先のMEOで一時的に数字をあげても、それだけでは商品やブランド自体に好感を持ち続けてもらうことには繋がらないですよね。

情報整備や投稿を続けていて、ある日突然やめてしまったら「何でだろう?」と思うお客様がきっと出てくる。続けるという真摯な姿勢が、どうしても必要だなと思いますね。MEOに限らず、何事も同じなのかもしれないですが、続けていくことの重要性を意識して、取り組んでいけたらいいなと思っています。