ホテル経営において、閑散期に集客が落ち込むことは避けられない課題です。しかし、この時期をピンチと捉えるか、成長のチャンスと捉えるかで、ホテルの年間収益には大きな差が生じます。
本記事ではホテルの閑散期に実践したい集客施策を6個と、閑散期に向けて実践したい施策を8個紹介します。集客施策以外にも実践するべき対策を3項目ピックアップして解説していますので、一年を通して集客を安定させたいホテル事業者様はぜひ最後までご覧ください。
ホテルの閑散期を乗り切るならMEOツールの「口コミコム」→何ができるか見てみる
ホテルの閑散期と繁忙期はいつ?

どのビジネスにも売上の波が存在し、時期を把握しておくことで戦略的な対策を打つことが売上安定につながり、年間収益の最大化が可能です。
では、ホテルの閑散期と繁忙期はいつなのでしょうか。
【1月〜2月】正月疲れと寒さで旅行需要が急減
1月〜2月にかけては、年末年始の連休が終わって支出を抑える傾向も強まるため、消費行動や旅行への意欲が落ち着きがちです。
また、寒さを理由に遠方への観光や外出を伴うレジャーを避ける傾向にあるので、ホテルは閑散期に突入します。
【4月上旬〜中旬】新生活スタートで旅行需要減
4月上旬は卒業旅行や春休みが終了し、多くの企業や学校で新年度が始まる時期です。
旅行やレジャーに対する関心が減少し、特にビジネスホテルにおいては、連休のない4月上旬〜中旬にかけて閑散期に突入する傾向にあります。
【5月中旬〜6月】GWが終わって梅雨に突入
GWはホテルにとって一年の中でも最も繁忙期であり、その反動から5月中旬以降、予約数が急速に減少に転じます。
さらに、6月にかけては梅雨入りする時期と重なり、観光やレジャーを目的とした旅行を避ける傾向にあります。
また、繁忙期の夏休み(お盆休み)に向けて大きな出費を控える傾向にあるため、この時期は多くのホテルで集客が落ち着く傾向が見られます。
関連記事:ホテルの集客方法12選!集客を成功するための5ステップや業界の現状なども解説
ホテルの繁忙期はいつ?
ホテルの繁忙期は、多くのケースで長期休暇や季節のイベントと深く結びついており、一年の中で旅行需要が高まる特定の時期に集中します。
主な繁忙期は以下の通りです。
- GW(4月末~5月上旬)
- 夏休み(7月中旬~8月末)
- 年末年始(12月末~1月上旬)
- シルバーウィークや三連休
ホテルの閑散期を乗り切るならMEOツールの「口コミコム」→何ができるか見てみる
閑散期にホテルが実施すべき「短期集中」集客施策6選

売上が減少しがちな閑散期を乗り切れば、年間収益を最大化させられます。しかし、「わかっていても手が回らない」という理由で後回しにしてしまう事業者も少なくありません。
ここでは、まさにそのような状況にもすぐに実施できる集客施策を6つ紹介します。
1. 新しいターゲット向けのプラン作成
閑散期に通常の観光客からの予約が期待できない場合、時期・季節に関係なく需要がある層や平日の予約が期待できる層に向けた新プランを作成しましょう。
たとえばビジネスパーソン向けの「ワーケーションプラン」、地元住民向けの「ステイケーションプラン」、あるいは「デイユース(日帰り利用)プラン」などです。
また、創作活動をする人に向けた「集中創作プラン」や、推し活をする人に向けた「推し活応援プラン」、コスプレをする人に向けた「館内撮影自由プラン」などを設けるのも一案です。
ターゲットはニッチであるものの、価格競争に陥りにくく、ホテルに滞在する「新たな理由」を提供できるというメリットがあります。
2. 既存顧客にアプローチ
一度宿泊した既存顧客(リピーター)は、ホテルの魅力を理解しているため、新規顧客の獲得より容易な傾向があります。CRMデータなどを活用し、過去に利用した時期や利用額に基づいた「お客様限定の特別優待」をダイレクトメールやメルマガで送付します。
「2月限定のシークレットセール」や「リピーター様限定割引」など、特別感を演出することで、再訪への動機付けとなります。
3. SNSやメルマガで情報発信
閑散期だからこそ、SNSやメルマガを通じて情報発信しましょう。例えば、新しいターゲットに向けた新プランをSNSで発信するほか、メルマガで詳細を紹介するのも効果的です。
画像などとともに丁寧に発信することで、ホテルの魅力がより深く伝わり、閑散期の予約獲得につながることも期待できます。
4. Web広告で顕在層に訴求
Web広告(リスティング広告やディスプレイ広告)は、SEOやSNS運用と異なり、出稿後すぐにユーザーに情報を届けられるため、短期的な稼働率向上を目指す閑散期に適した集客施策です。
検索キーワードやユーザー属性を絞り込み、「閑散期限定の直前割引」や「特別プラン」を打ち出すことで、競争が緩やかな閑散期でも効率良く予約へ誘導することが可能です。
5. イベント・キャンペーンの開催
話題性のあるイベントやキャンペーンを開催するのも、閑散期の集客施策として有効です。
たとえば、宴会場を使って体験型イベントや料理フェアを開催するほか、空いている客室を使ってワークショップを開催するのも方法の一つです。
6. 地域との連携
地元の飲食店や観光施設、公共交通機関などと連携した施策も検討しましょう。
たとえば近隣にある店舗・施設と連携し、割引券を配る代わりにパンフレットを設置してもらったり、公共交通機関にポスターを掲示したりします。
ホテルの閑散期を乗り切るならMEOツールの「口コミコム」→何ができるか見てみる
ホテルの閑散期だからこそ従業員教育や施設の点検を!

集客施策と並行して実施したい施策があります。それは、従業員教育や施設の点検などです。
繁忙期は忙しいことを理由におざなりになりがちですが、閑散期だからこそ改めて目を向けて、繁忙期に向けて準備しておきましょう。
1. 従業員のスキルアップ
繁忙期だとどうしても日常業務に追われ、従業員に対する教育の時間をまとめて確保することは困難です。だからこそ閑散期には従業員のスキルアップにあてましょう。
たとえば、マニュアルやフローの問題点をピックアップして最新の情報に更新するほか、クレーム別の対応方法を研修形式で教えたり、インバウンド客を集客するにあたってスタッフ向けの外国人対応研修を実施したり。
また、地元の食材や観光知識などを深く学ぶ研修を実施することで、お客様への情報提供の質が向上し、結果としてサービスの付加価値を高めることができるでしょう。
2. 施設の点検とリニューアル計画
次の繁忙期に万全の態勢で臨むためにも、施設の状態も改めてチェックしましょう。
たとえば 、過去のアンケートで指摘された「ベッドが固い」「Wi-Fiが遅い」といった施設の不満点を改善するためのリニューアル計画を策定します。
また、空調や配管、ボイラーなどの設備や、客室のカーペットの入れ替え、壁の塗り直しなど、長期の客室利用停止を伴う工事を集中的に行いましょう。
3. サービスを見直してフローを徹底改善
サービスの品質は、顧客満足度だけでなく、従業員の生産性にも直結します。閑散期の落ち着いた状況を利用して、日頃の業務フローに潜む無駄や非効率を徹底的に洗い出しましょう。
一度、お客様目線で予約からチェックイン〜滞在〜チェックアウトまでの一連のサービスフローを体験し、ネガティブに感じたポイントをピックアップします。
そのうえで、マニュアルやチェック項目を最新化し、全従業員がブレなく質の高いサービスを提供できる体制を整えます。
ホテルの閑散期を乗り切るならMEOツールの「口コミコム」→何ができるか見てみる
ホテルの閑散期に集客する際に注意すべきポイント2つ

焦りから誤った戦略をとると、一時的な集客ができてもホテルのブランド価値を損なったり、広告費を浪費したりするリスクがあります。
ここでは、閑散期の集客施策として特に注意すべき2つのポイントを解説します。
値下げに依存しない
どうにかして集客したいという焦りから、大幅な値下げを検討している事業者も多いのではないでしょうか。
値下げは一時的に集客力を高めるのには有効ですが、「あのホテルは安い」というイメージが定着し、通常の値段では集客するのが困難になってしまいます。
また、収益性の低下にもなりかねないため注意が必要です。値下げによって安価な料金で宿泊した顧客は、レストランやバーなどの付帯サービスを利用しない傾向が強く、結果として利益率が低くなる可能性があります。
ただ値下げをするのではなく、価格は据え置きにしつつ、付加価値やお得感を打ち出す戦略的な価格設定を心がけましょう。
広告出稿は慎重に
Web広告は即効性があって閑散期の集客施策として有効な一方、確実に集客につなげるためにはある程度のノウハウが必要で、闇雲に出稿すると無駄遣いになるため注意しましょう。
たとえば、新しいターゲット向けに「推し活応援プラン」を設定したとしたら、「地域名+推し活」「地域名+推し活+ホテル」といったキーワードで広告を出稿しましょう。
広告を配信したプランが本当に予約に繋がっているか(CPA:顧客獲得単価)、予約経路や費用対効果を常に計測し、効果の低い広告はすぐに停止・修正するなど、PDCAサイクルを回し続けることが重要です。
ホテルの閑散期を乗り切るならMEOツールの「口コミコム」→何ができるか見てみる
ホテルの閑散期に向けて実践したい集客対策8選【中長期型】

一年を通して安定したホテル経営を実現するためには、競合に左右されない強固な集客基盤の構築が不可欠です。
最後に、ホテルの閑散期に向けて実践したい集客対策を8個紹介します。
1. SEO対策
SEO(検索エンジン最適化)は自社ホームページの検索順位を向上させるための施策です。一般的に、効果が出るまでには3ヶ月〜半年ほどの期間が必要なため、閑散期に向けて余裕を持って対策しましょう。
また、「地域名+ホテル」のキーワードで上位表示されているのは基本的にOTAのため、対策するなら「地域名 + 推し活 ホテル」「地域名 + 記念日 露天風呂付き客室」など、よりニーズが具体的なキーワード(ロングテールキーワード)がおすすめです。
2. MEO対策
MEOとは、Map Engine Optimizationの略で、GoogleマップやGoogle検索で店舗情報がユーザーの目に留まりやすくなるようにするための施策のことをいいます。
SEOとは違ってある程度の即効性が見込め、Googleビジネスプロフィールで情報を整備したり定期的に情報を発信するだけでも集客が期待できます。
さらに、一歩進んだ対策を行えば、より多くの顧客獲得につながるでしょう。
「口コミコム」はMEO対策ツールで、Googleビジネスプロフィールをはじめ国内外31の口コミサイトとSNSの店舗情報や口コミを一括管理・分析できます。
閑散期に向けた集客ツールとしても活用いただけます。詳しくは「口コミコム」の紹介ページをご覧ください。
関連記事:ホテル(宿泊施設)が導入すべきMEO対策とは?集客するためのポイント7つも紹介
3. SNSの運用
SNSの運用も閑散期に向けた集客施策として有効です。しかし、集客に結びつけるためにはある程度の期間と運用ノウハウが必要です。
また、それぞれのSNSの特性に合わせた発信が必要となるため、ターゲットに合わせて運用するSNSを決めましょう。
4. YouTube動画の運用
写真や文字だけでは伝わりにくい内容(部屋の広さやレイアウト、館内の雰囲気、スタッフの様子)を紹介する上で、YouTube動画は有効です。
特に、新規の顧客の不安を解消し、安心感を与える上で、動画は大きな役割を果たします。
さらに、作成した動画を自社ホームページに埋め込むことで、サイト滞在時間の延長や、全体のコンバージョン率向上にも大きく貢献します。
5. LINE公式アカウントの活用
LINE公式アカウントは、一度宿泊したお客様やホテルに興味を持ったユーザーと、直接的かつ継続的にコミュニケーションを取るための集客ツールになります。
特に、OTAを介さない直接予約への誘導や、リピーターの育成に高い効果を発揮します。
友だち登録者限定のシークレットプランや、季節ごとのイベント情報、誕生日クーポンなどを配信することで、顧客との関係性を維持・強化し、効果的に再訪を促すことができるでしょう。
6. Web広告・SNS広告の運用
Web広告は費用がかかるものの、短期間かつピンポイントでターゲット層にアプローチできるなど、即効性の高さが魅力です。
具体的な活用法として、リスティング広告は「最寄り駅+ホテル」「地域名+ホテル」などの検索意欲の高い顕在層を、ディスプレイ広告は旅行サイトを閲覧している潜在層を狙います。
また、SNS広告は興味や属性(例:推し活、記念日旅行検討者)で絞り込んだ特定のターゲット層に、視覚的にアピールするのに適しています。
7. プレスリリースの配信
プレスリリースへの配信も閑散期に向けた集客として有効です。たとえば、新しいプランを設定しても、ターゲットに届かないと予約にはつながりません。そこで効果的なのがプレスリリースです。
話題性のあるプランならテレビや新聞、Webメディアなどに取り上げられ、思わぬところからの集客も期待できます。特に、地域活性化や社会貢献につながるネタは取り上げられやすい傾向にあります。
8. インフルエンサーへの掲載依頼
SEOやSNSでの情報発信は、基本的にホテル側による主観的な内容となるため、広告めいた印象を与えるとユーザーに敬遠される傾向があります。そこで活用したいのがインフルエンサーです。
インフルエンサーに実際にホテルに宿泊してもらい、その体験内容をSNSで発信してもらうことで、第三者の客観的な目線によるリアルな紹介となり、ユーザーの信頼を獲得しやすくなります。
インフルエンサーに依頼する際はフォロワー数だけでなく、ターゲット顧客に近い属性のフォロワーを抱えているかを指標にしましょう。
極端な例ですが、美容インフルエンサーにホテルの紹介をしてもらっても大きな効果は期待できません。
そうではなく、「ホテル」や「旅行」「ライフスタイル」をテーマに情報発信しているインフルエンサーであれば、フォロワーの属性がターゲットと近いため、効果が期待できるでしょう。
ホテルの閑散期を乗り切るならMEOツールの「口コミコム」→何ができるか見てみる
まとめ
ホテルの閑散期は大きく分けて年に3回ありますが、その期間に何も対策せずに諦めるのではなく、この記事で解説したように、新しい顧客向けに新プランを作成するほか、既存顧客へのアプローチで目先の予約を確保しましょう。
その上で、従業員教育や施設点検、そして中長期的なWebマーケティング施策に時間を投資することで年間を通して集客が期待できるようになるはずです。
特に、中長期の集客基盤強化において欠かせないのが、Googleマップからの集客を最大化するMEO対策です。
MEO対策は、単なる情報の登録だけでなく、最新情報の継続的な発信や、質の高い口コミの収集・管理がポイントとなります。MEO対策を本格的に強化し、安定した集客を実現したいとお考えであれば、ぜひ「口コミコム」をご活用ください。